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【医療情報技師】病院SEの仕事ってなに?


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この記事では主に、新しく病院SE(医療情報技師)になられた方や病院SEを目指している方向けに、具体的な仕事内容や必要とする能力について紹介します。
すでに病院SEに携わっている方にとっては、

参考程度

あるいは

ちょっと違うな。。

という部分もあるかと思いますが、その辺はご容赦頂きつつ、ご意見頂けたら嬉しいです。

さて早速ですが、

病院SEってどんな仕事をしているの?
という疑問にお答えします。

病院SEの仕事とは

  1. ヘルプデスク
  2. システムの保守管理
  3. 医療情報システムに関わる提案

主にこの3つがあげられます。

それから、医療情報技師として必要な能力は

  • コミュニケーション(Comunication)
  • コラボレーション(Collaboration)
  • コーディネーション(Cordination)

この3Cと言われる3つの能力が必要とされています。
(医療情報技師育成部会より)

1.ヘルプデスク

病院SEにとってほぼメインとなる仕事がヘルプデスク業務。
病院職員が普段、業務中パソコンに関係する事でトラブルが発生した場合、問い合わせが寄せられます。
内容としては、
「印刷したけど紙詰まりが除去できない。」
「パソコン画面が映らない。」
「マウスが効かない」
「カルテの操作が上手くいかない。」などなど
院内SEであるあるなのが、
パソコン画面が映らないと言われた時に、現場に行って確認すると、
ディスプレイの電源ケーブルが抜けていた。という事もしばしば。
ちゃんと基本的な所を確認してよ。と思いますが、
利用者は、医療従事者であり、診察や患者対応で忙しくされています、
「パソコンでトラブルがあったらシステム担当に聞けばいいや。」という認識は元々あって当たり前です。

だた、これ位のことで、広い病院なら行くだけでも数分かかってしまう状況であれば、
その間、パソコンが使えない状況になるわけですから、仕事が進まない事態も考えられます。
であれば、その状況を回避すべく、問い合わせ電話の時点である程度確認できることを伝え、自ら解決してもらう事が得策です。

このように、自分にとって当たり前のことでも、まず疑問を持って、最低限の解決方法を伝える能力は重要になってきます。

3Cで言う、コミュニケーション能力ですね。今回のケースであれば、「電源ケーブルはちゃんと挿さっているか?」をまず確認する事。

その他に、「カルテの操作が上手くいかない」と言うケースでは、
考えられる 事が2つ挙げられます。

・操作方法が間違っている

・システムの不具合

操作方法が間違っている

その操作に対して、一連の操作手順が違う事で、エラーとなる事があります。
例えば、考えられる具体例として入院登録操作。
新しく入院が決まった患者に対して、登録手順は

入院予定オーダ→入院決定オーダ→入院完了

正規ルート

しかし、

入院予定オーダ→転棟オーダー(すでに入院している患者の病棟を引っ越す事)→入院決定オーダ→NG

入院を決定する前に、転棟ってありえないんですよね。

このような手順の間違いって、結構あるんです。
それを確認して、正しい操作を教えるといった流れです。
そのためには、電子カルテの動作を知っておく必要があり、新人さんが一番悩む所でもあります。

2.システム保守管理

システムの不具合

一方、システム不具合の場合では、話が違ってきます。
操作はあっているけど、登録ができない。登録した内容とは異なった結果が表示されるとか。

この場合だとシステムが正常に動いているか、システム保守の領域に関わってきます。
正常値を返す為に、マスタの設定値や簡単なini設定で解決できる案件とそうでない案件が挙げられます。
そうでない場合は、開発ベンダーSEに修正依頼をする必要があり、修正までに時間がかかる場合があります。
その場合、いま早急に修正しないと業務が進まないのか、あるいは、代替案で業務可能なのかの見極めも必要です。
この場合、開発ベンダーSEの調整や、利用者の都合も考慮する必要があります。いわばベンダーと利用者の橋渡し役となります。時にはベンダーと議論する事もありますし、利用者に協力してもらうこともあります。これが3Cで言うところのコラボレーションです。

その他、電子カルテなどの病院情報システムは、常に稼働している事が前提です。
その為、病院システムを構築する各サーバーが正常に動いているかを確認する業務もシステム保守管理業務です。
正常に動き続けてくれればいいのですが、機械なのでそうもいきません。
稼働時間が長ければ長くなるほど故障のリスクは高まります。

日々のサーバーチェック業務から、いつ起こるか分からない故障の検知やエラーを発見し、迅速な判断でベンダーに対応依頼をする、もしくは応急措置を行う事もあります。
保守管理を行う上で重要なのは、いつもとは違う違和感を敏感に気づけるかどうかです。

一言に病院情報システムと言っても、その数、相当数に至ります。
例えば、診療録を記載する電子カルテや処方や各検査のオーダといった基幹システム。
診察を受けた際にかかる料金を管理する医事システム。看護、薬剤、画像、検査、リハビリ等といった各部門システム。
ざっと浮かべただけでも、これだけのシステムが考えられます。
これら全てのシステムでそれぞれサーバーが存在し、各サーバーのチェックリストを見ながら正常に動いているのか確認する作業が毎日の仕事です。

3.医療情報システムに関わる提案

病院SEはシステムの事だけでなく、病院の運用についても把握しておく必要があります。
それはなぜかというと、
例えば、病院職員(主に医師や看護師)の日々のルーティン業務の中で、

「この作業、システム化したら簡単じゃね?」

という場面もあったりします。

ただそのような場合、ケースにもよりますが、その業務は頻繁には発生するけど、毎日ではなく、システム改修するには費用がかかり過ぎてしまう。
だったり、それが印刷物なら機械化する事で逆に取り忘れが発生し管理的、法的にリスクが生じる恐れがある為、システム化しないほうがよい場合も考えられます。

このように、様々な場面において運用が決まっているため、一概にシステム化できる部分はシステム化すればいいというわけではありません。

そこで、情報システム部門では、運用も踏まえた上で、業務効率化の為、いかにシステムでカバーできるか。
あるいは別の方法でカバーできないか?
などの提案が求められたりもします。
最近ではAI診療やRPAとさらに先進的なシステムを導入している病院も加速しています。

情報システム部門は、一見事務寄りな見方もあり、事務仕事にまつわる雑務も頼まれたりします。このご時世、いかにコスト削減するかを問われる中、
雑務ばかりを受け入れてしまうと、いつ削減対象にされても、おかしくありません。
コスト削減の対象とならない為にも、システムの提案ができる事がシステム部門のあるべき姿だと思います。

まとめ

このように病院SEの仕事として、

  1. ヘルプデスク
  2. システムの保守管理
  3. 医療情報システムに関わる提案

3つの仕事内容をご紹介しました。

それこそユーザーの便利屋的な作業といった簡易的な業務から、サーバーインフラの知識、システムの提案といったエンジニア的な業務まで求められます。
その為、従事者としてはIT未経験者から、過去にシステム開発プログラマーといった経験者まで幅広いです。
また、病院システムを扱うという、医療従事者という誇りをもって臨める仕事です。